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「月のカケラ」再録集55に再録
珀黎翔×汀夕鈴
建国王の亡霊が現れるのは
王の御代をたたえる証
現れた建国王は夕鈴を連れ去ろうと…
月のかけら
   ******

「これでいかがでございますか」
現れた男の姿を検分し男はうなずいた。現れた男は一見珀黎翔のように見える。だがそれが珀黎翔ではないことを男は知っていた。
「なかなかの出来映えだ。…これなら王の妃を籠絡しうまく殺せるだろう。誰にも疑われることなくな」
「お任せください、主様」
男は王の執務服をまとっている。部屋の明かりではまるで珀黎翔そのものに見えた。だがその口から漏れ出てきたのは珀黎翔とは似ても似つかぬ男の声だった。
「必ずやご命令を果たして参ります」
主はうなずいた。
「あの妃がいる限り、王は新しい妃を迎えようとはせぬ。後宮に妃が一人という状況は望ましいものとはいえぬ。王はあの若造の李順を後見に据え外戚をあくまで拒否する構えだ」
「何人もの妃を後宮に入れようという主様のお考えに同調する貴族は多くおりましょう」
「当然だ」
男の言葉に主は満足げにうなずいた。
「だが…王は己の妃に対する攻撃を退け、仕掛けた貴族を秘密裏に処分している。…絶対にこちらが仕掛けたと知られてはならぬ。…王の寵愛深い妃は後宮に現れた建国王の亡霊に奪い去られるのだ。…まあその亡霊を呼び覚ましたのは王自身の寵愛の深さゆえなのだがな。…薬の用意はととのっているか?」
「すでに投与しております。多少副作用で体調不良になっているかとは思いますが侍医に疑われるほどではないはずです」
男は満足げに笑い、手を振った。
「たとえ妃がなくなったとしてもそれは妃の美しさ故。妃の名誉は守られる。そうであれば王も下手人を探し回りはしないだろう。妃を冥土に連れて行くのはこの国を作った建国王なのだからな」
「かしこまりました」
「ただし。…気をつけねばならん。王は妃には極秘に護衛をつけているというもっぱらの噂だ」
まだその護衛の素性をみた者はいない。だが、男はもちろんその護衛が存在することも掴んでいた。
「先に様子を探るために忍び込ませたこちらの手の者の話では、その護衛は並の腕ではないという話だ。うまく忍び込んでも遭遇すればお前でも返り討ちになるだろう。さすが王の隠密…」
主の言葉に建国王の装いに身をやつしていた男は肩をそびやかした。
「正面切って戦ったらたとえそれが王の隠密でも遅れをとるつもりはありませんが…」
「王の妃を殺すことが目的なのだ。護衛は退けられればいい。…まあ少なくともこの姿ならば女官たちには建国王の亡霊が現れたと見せることができるだろう。王の治世を言祝ぎ、妃へ想いをかける亡霊だ」
男は口元に笑みを浮かべた。
妃を守る隠密に対処するための策も男は考えていた。
「ではよく聞け。城下町で別の者が争乱の種を巻いてことを起こす。腕のいい護衛というものは…そう何人もいるものではない。その護衛を探索に差し向けなければならないような事件を引き起こし、妃の側から離す」
男はにやりと口元に笑みを浮かべた。
「そうしたらお前は…妃を籠絡しそしてその命を奪うのだ。あくまでも…建国王の亡霊として」
「かしこまりました」
そう一礼すると男は部屋を出て行ったのだった。

   ******

ここは白陽国王宮。前王からの代替わりの争乱を自ら軍を率いて制圧し、戦場の鬼神、冷酷非情と呼ばれる珀黎翔が治める国である。
白陽国の王都では秋も深まり、やがては初冬の訪れがという頃合だ。
窓の外はひんやりとした心地よい空気に包まれ、王宮の部屋から見下ろす庭園は様々な色あいの葉をつけて王宮に住まう者の目を楽しませる。
秋ともなれば中秋の名月、さまざまな宴が行われる頃である。
だが、白陽国王宮の執務室の中は常と変わらぬ様相を呈していた。
「この資料では詳細がわからぬ」
冷ややかともいえる珀黎翔の声が静まりかえった部屋の中を隅々まで満たす。
「王都の警備長を呼び、さらに詳しく状況を説明するように手配せよ」
「はっはい…!」
すくんだように身をこわばらせていた執務室補佐官が跳ね起きるように珀黎翔の手から書類を受け取る。
これもまたいつもの日常の風景だ。
珀黎翔の少し後ろに夕鈴専用の椅子が用意されていて、その椅子に座っている夕鈴もびくびくと身をすくめていた。
書類にミスがあったのか。
一方珀黎翔の隣、夕鈴と反対側にたつのは、氷の側近切れ者李順の異名をとる珀黎翔の腹心の李順だった。
珀黎翔に比べると一見穏やかそうな印象だが眼鏡の奥のまなざしの鋭さはさすがに珀黎翔の側近だけのことはあり、少し一緒に仕事をすれば否応なしにその異名の理由を知ることになる。
白陽国の至高の存在、絶対権力を握る珀黎翔は、すらりとした長身で端正な面差しの持ち主だ。まっすぐに通った鼻筋、引き締まった口元。さらりとした黒髪。若く流麗な顔立ちの珀黎翔はまだ正妃を持たない身だったが後宮にたった一人の妃を迎え、その妃夕鈴を寵愛していることで知られている。
いつ見ても乱れることのない王の執務服を珀黎翔はきっちりと着こなしている。
密かに白陽国の女官たちには恐れられながらも人気のある珀黎翔だった。だが、今はそのまなざしは僅かに曇っているように思われた。
ようやく朝の執務が終わる。
「ではこれで午前の執務は終了です、陛下」
「わかった。決済のすんだものはすぐに進めるように」
珀黎翔の言葉に目に見えて執務室の緊張がゆるむ。
ぞろぞろと書類を受けとって席を立ち部屋を出て行く執務室補佐官たちを見送ると、部屋の中は珀黎翔と李順、そして夕鈴だけになった。
「お疲れさま、夕鈴」
先ほどまでの凍り付くような気配が不意に抜け落ちる。その端正な顔にふっと笑顔が浮かび、その笑顔に優しさに夕鈴は見入られたように視線を向けた。
「…陛下、ここは王宮ですし人目もあります。そちらのお姿に戻るのはもう少しお待ちください」
そう言ったのは李順である。
「わかっているが…さすがに疲れた」
そう答えながら珀黎翔は軽く肩をもんだ。
「秋の宴もありますし、収穫祭も行われる関係で王宮では行事が立て込んでいますから。陛下にはご無理を強いてしまいますがこのスケジュールははずせないので耐えていただくしかありませんね…」
李順がさすがに申し訳なさそうにいう。
「わかっている。…平和な行事で忙しいというのは贅沢な悩みだな。…数ヶ月前までは軍を率いて戦場にいたのだから」
「…陛下、でも少しでも休んでくださいね」
夕鈴は目を瞬いた。
珀黎翔がうれしそうな笑顔を浮かべる。
「ありがとう、夕鈴。でも後宮には夜まで行けないだろうし、この後は軍の視察が待っている。でもそうだな…居間に移動してお茶を入れてもらおうかな。疲れもとれるし」
「わかりました」
夕鈴は勢い込んでうなずく。珀黎翔の激務は身近に見ているのでよくわかる。夕鈴は臨時花嫁だけれど。珀黎翔のためにできることなら何でもしてあげたい。
そう、これは白陽国の国家機密の一つだった。
降るように持ち込まれる縁談を退けるため雇われた臨時花嫁。それが夕鈴の職種である。だが夕鈴と過ごすうちに珀黎翔が夕鈴を愛しく想い、本物の妃として、己の生涯をともにする相手として考えていることを夕鈴は知らない。
珀黎翔は己の信頼する隠密浩大を呼び戻し、夕鈴には知らせぬまま密かに護衛としてつけていることも、珀黎翔と李順そして浩大だけが知っていることだった。
珀黎翔は立ち上がると李順を促し、夕鈴とともに王宮内の居間へと移動した。
白陽国は大国であり、その王宮は国の立法、行政、司法の中心である。そのすべてが珀黎翔のもとに集約されるのだが、それだけに王宮は広く、多くの女官や侍官が働いている。
国の中心だけあって人の気配が常に絶えない王の居間の周りだが、基本的なプライバシーは尊重されている。入り口の警備兵に軽くうなずいて珀黎翔は李順と夕鈴を伴って居間に入った。
「夕鈴…お茶を頼むね」
「はい、陛下」
夕鈴はうなずいた。後宮なら人払いをすればまったく珀黎翔は己の素の状態を見せることができるが王宮ではそうはいかない。それでもここ王の居間は入ってくるには警備兵を通過しなければならず、基本的に断りなく入ってこれるのは王の側近である李順だけである。
実際にはもう一人いるのだが、その一人がくるのかわからない。
夕鈴が珀黎翔のお茶を手づから入れることはもう王宮には知れ渡っていて、珀黎翔の居間にはお茶の用意がされている。
そのお茶を入れ始めると部屋の中には薫り高いお茶の匂いが立ちこめ始めた。
「陛下、どうぞ」
「ありがと、夕鈴」
にこにことしたその笑顔は小犬陛下そのものである。
「李順さんも…」
「戴きます」
こちらは夕鈴にとっては鬼上司ということになるのだが、やはり後宮と違って王宮ではいつ侍官や女官が緊急の知らせをもって飛び込んでくるかわからない。李順はあくまでも王の寵臣であり寵姫の後見といった口調を崩さぬまま受け取った。
「浩大は…くるかしら?」
「そうだな…」
珀黎翔が視線を窓に向ける。
「浩大は先ほどちょっと命じたことがあって出かけている」
「…」
さっと李順が視線を珀黎翔に向けた。一瞬意味ありげな珀黎翔の視線と交錯する。だが李順は何もいわずに再び茶器を口元に運び自分の表情を押し隠したので夕鈴はそれに気づかなかった。
「夕鈴…」
言い掛けて珀黎翔は何と言ったものかと考える様子で言いよどんだ。
「陛下…?」
「最近何かあった…?」
ためらいがちの口調。だがその視線はひたと夕鈴に向けられている。夕鈴が言い逃れることがないようにということなのか。ふと珀黎翔の手がのびて夕鈴の手をとった。
「え…?何のことですか、陛下?」
身に覚えがない夕鈴はそう聞き返した。思わず声に不思議そうな色が混じったかもしれない。僅かに目を細め、珀黎翔は夕鈴を怖がらせないように思ってか穏やかな口調で言葉を継いだ。
「最近…ちょっと疲れていたりしない?」
「え…別にお仕事もそんなに立て込んでいないですし。何か…?。陛下……」
本当に予想していない問いかけだった。夕鈴は手を珀黎翔に取られたまま顔を上げた。
「確かにここの所陛下の方はお仕事が忙しいとは思っていますけど…」
夕鈴はわずかに首を傾げた。妃の仕事が忙しいなどいえば本当に激務を続けている珀黎翔や李順にはいったいなんだといわれそうだ。もっとも夕鈴は夕鈴なりに忙しい。秋はどうやら王宮では行事が立て込む時期らしく、小さな宴や儀式は夕鈴がこの仕事をはじめてから例をみないほど多い。
王宮の忙しさは行事が近付くにつれ増して行く。よく現れてはお菓子を食べていく浩大などそれを行事進行などと呼んでいるくらいだ。
現在王宮の主要メンバーは大きな行事を控えててんてこ舞いの忙しさになりつつあった。
「うん…忙しいよね……」
珀黎翔は夕鈴の言葉にうなずく。
「もうこの2週間で夕鈴に会えない日が何回あったか…」
「陛下、それは違いますから…」
李順がつっこんだ。
「陛下が忙しいのは日常です。…まあですが実際夕鈴殿にはお一人でお妃教育の復習をしていただいていたり…最近は宮中も落ち着いているので夕鈴殿に私も配慮が欠けていたかもしれません。お疲れですか?夕鈴殿」
「いいえ、そんなこと。大丈夫です。私は体だけは丈夫なので。…ですがやっぱりこの季節のせいかしら…?。少し疲れやすいのかも…」
「しかし、夕鈴」
珀黎翔が夕鈴の言葉を穏やかに遮った。
「疲れやすいというだけなら…どうしてそんなに顔色が…」
「え…?」
ちょっと驚いて夕鈴は珀黎翔を見た。
「顔色が…悪いですか、私?」
予想外のことを言われて夕鈴は首を傾げた。
珀黎翔がうなずいた。
「いつもより随分顔色が…白く感じる」
言葉を選んではいるがようは顔色が悪いようだ。最初は仕事の疲れがたまっているのかなと珀黎翔は思っていたらしい。食事ものどごしのいいものを用意させていたと聞いて夕鈴は目を瞬いた。
通りすがりにしか会えないこともあったのにそういうところは見ていて手配もしてくれる。本当に珀黎翔は臨時花嫁を甘やかすと夕鈴は思う。
「それは…知りませんでした。ありがとうございます、陛下」
「大事なお嫁さんだからね」
珀黎翔は苦笑する。
「これぐらいは当たり前でしょ」
だが、それでも顔色も悪くなるとあっては、もうこれ以上見過ごすわけにはいかない。だから今日の質問ということになったらしい。
「本当に大丈夫です、陛下」
「そう…?」
何気ない様子で珀黎翔が手を伸ばし夕鈴の頬に触れた。
(…暖かい…?)
珀黎翔の手の灼熱するような体温。反射的に夕鈴は珀黎翔がもう一度触れ直す間もなく、珀黎翔の手を振り払っていた。
「……!」
驚いたのは珀黎翔と夕鈴とどちらが大きかったか分からない。
「ご…ごめ…んなさい。私。後宮に…戻ります」
そう早口に言って夕鈴は珀黎翔に背を向けた。手を振り払ってしまったのは熱さに驚いたためだったのだけれどそれを言えないまま立ち上がる。
「……」
一方取り残された珀黎翔と李順は呆然と夕鈴を見送っていた。
「振り払われた…?」
珀黎翔は軽く首を振った。
「そんな…馬鹿な……」
「いえ、陛下」
李順の方が立ち直るのは早かった。
「普通年頃の娘が陛下にふれられたらあんなものでしょう」
「頬に触れたぐらいのことで、こんなにも敏感な反応を返されるとは思っていなかったが」
「陛下はご自分のことを知らなさすぎます」
李順は肩をすくめる。
「…夕鈴と少し距離を詰めたような気持ちでいたのに…」
恨みがましく珀黎翔はつぶやいた。
確かにこの2週間。
お互いに仕事やら視察が入るやらで予定のあわないことも多々あったのだけれど、それぐらいでこんな手を振り払うようなことをするだろうか。
(嫌われた…?)
珀黎翔はふと思い浮かんだ言葉に眉を寄せる。
(いや…そんなはずはない)
脳裏に浮かんだその言葉を珀黎翔は即座に打ち消す。
夕鈴はそういうタイプではない。
いきなり訳もなく珀黎翔の手を振り払うようなことはしないだろう。珀黎翔によほど非があったとしても、悶々と一人抱え込むタイプだ。そして少なくとも珀黎翔は夕鈴を怒らせるようなことはしていなかったと言い切れる。
それならばなぜ触れた手を振り払うようなことを夕鈴はしたのか。
(ここが私の王宮の居間で人目を気にして?)
考え込みながら珀黎翔は首を振った。
それは違う。この場にいたのは李順だけだ。珀黎翔が夕鈴にふれることを頬をそめて受け入れるようになっていたのに。
(それに…あの手の振り払い方……)
珀黎翔は思い起こそうとする。
(無意識の反応のように思えたが…本当に体調が悪いのか…?。私が予想したよりも…)
珀黎翔は考え込みながらゆっくりと振り払われた手を見つめた。確かにひんやりとしていた。
「それより陛下、お伺いしたいことがありますが」
李順が口を開いて珀黎翔は顔を上げた。
「なんだ…?」
「浩大のことです。今、彼が夕鈴殿の護衛を離れている件ははじめて伺いましたが」
「急なことだったからな」
そう答えて珀黎翔は李順の追求を認めた。
「お前も知ってのとおり、王都の城下でたびたび小競り合いが起こっていると警吏長からの報告があった」
「覚えております。警吏の増員を求めておりましたな」
李順はうなずいた。
「そう簡単に増員できるわけではないので一時的に軍から手配し、警吏と協力して治安維持につとめるように決済されていたと記憶しておりますが」
「その通りだ。そして同時に下町に放っている密偵たちに情報収集につとめるように指示しておいた」
「それも記憶しておりますが…何か報告があがりましたか?」
密偵からの報告は基本的に朝の執務に現れることはない。軍属の密偵の場合は軍を経由して珀黎翔の元に報告が持ち込まれる。執務を経由するとさらに報告まで時間がかかる。時間にロスができてはせっかくの報告が生かせなくなるためだ。
「どうもその小競り合いを引き起こしている男たちが同じ人間ではないかという疑いがある。人相風体というよりは…複数の報告でやり口がにているっためだ」
「…なるほど」
李順はうなずいた。
「わかりました。この小競り合いが何か内乱の兆しではないかというご判断でしたか」
「そうだ」
珀黎翔はわずかに口元を引き結んだ。
「さいわい、最近王宮内の動きはない」
「いつものようにお妃やご正妃問題は忘れた頃に持ち上がっておりますが」
李順が肩をすくめた。
「ですが、早急に対処しなければならないような大規模な粛正や汚職の調査などは入っておりませんし、確かに落ち着いているといっていいでしょう」
「日中ということもある。一時的に浩大をはずし、城下へと向かわせた」
「かしこまりました。浩大の戻りが遅い場合…夕鈴殿の護衛は?」
「一応今の時点で複数の護衛をつけている。そのまま継続だ…こうして考えるとやはり浩大クラスの隠密があと一人、二人は欲しいところだな」
「それは難しいでしょうね」
李順は小さくため息をついた。
「隠密の素質、能力、実務の技量…それに加えて信頼がおけるかどうかという問題になるわけですから」
こういうときに浩大がかり出されるのは腕の良さだけではない。浩大は王都の城下町の闇の世界では有名人である。闇の世界では一流というだけで一目おかれ、下町で隠密活動を行うことも多い浩大は、その時々の振る舞いで情報屋にも顔が売れているのである。そして浩大は裏切らない。絶対的にその報告に信頼がおける。そういう隠密は滅多にいない。



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